導入事例
Mako Core™とApexレンダラーを統合することにより、Array Technologiesは主要なパフォーマンス上の課題を克服し、効率性とスケーラビリティを向上させるとともに、広告印刷およびトランザクション印刷分野におけるリーダーシップを強化しました。さらに、高速カラーパッケージングという新たな市場への展開も可能にしました。
課題
精度が絶対条件となるメールルーム自動化およびトランザクション印刷向けの産業用インクジェットソリューション開発企業であるArrayにとって、そのプリントアーキテクチャはリアルタイムかつランダムアクセス型のレンダリングを必要とします。すなわち、バリアブルデータPDF内の任意のページを選択し、レンダリングし、フル印刷速度でオンデマンドに出力しなければなりません。
シーケンシャルなワークフローとは異なり、この方式では事前レンダリング、キャッシュ、バッファリングといった手法が使えず、厳しいレイテンシおよびスループット制約が生じます。さらに、プロダクション用インクジェット印刷機は連続稼働するため、レンダリングの遅延が発生すると、データアンダーラン、印刷機の停止、あるいは材料ロスに直結します。
加えて、フルカラー出力への移行は計算処理の複雑性およびデータ量を大幅に増加させるため、従来のCPUベースのレンダリングアーキテクチャでは、持続可能なパフォーマンスの限界を超える要因となっています。
アレイ・テクノロジーズ副社長、ジョエル・トーマス。“レンダリング時間は50%以上短縮されており、特に複雑な4色画像において最大の効果が確認されています。”
ソリューション
従来、パフォーマンスのボトルネックに対する一般的な対応は、印刷速度を落とすか、より高速なCPUや大容量メモリを備えた大型サーバーへ投資することでした。しかし、スループットのさらなる向上が常に求められる市場において、これはコストが高く非効率な選択肢です。そこでArrayは、レンダリングアーキテクチャそのものを見直す機会を見出しました。Arrayはすでに、トランザクション印刷向けインクジェット印刷機を制御する自社のRaptor Controllerソフトウェアに、Mako CoreプリントSDKを統合していました。
ArrayのVice PresidentであるJoel Thomasは次のように述べています。「当社はこれまで、Mako Coreの一部としてJaws RIPを活用し、成功を収めてきました。しかし市場の要求がより高速なレンダリング性能へと進化する中で、スループットをさらに向上させる新たな技術の検討に関心を持っていました。HelixがGPUネイティブのApexレンダラーを搭載したMakoを発表した際、比較的低コストなハードウェアで大きな性能向上が期待できると判断しました。」
特にApexは、カラーレンダリングを効率的にスケールできる点で注目されました。Thomasは続けます。「超高速でのカラーデータ処理こそが最大の課題です。これを解決できれば、モノクロ印刷で既に得られているメリットをそのまま享受できます。Apexは、従来のRIPと比較して、複雑なカラーPDFをより高速かつ効率的に処理できます。」
アレイ・テクノロジーズ副社長、ジョエル・トーマス。“Apexは、従来のRIPと比較して、複雑なカラーPDFをより高速かつ効率的に処理し、スケーラブルに対応します。”
成果
Apexの統合により、Arrayはレンダリング処理の負荷をCPUからGPUへと移行しました。既存システムを全面的に置き換えるのではなく、従来あまり活用されていなかったGPUを活用、または低コストのGPUを追加するというアプローチを採用しました。その結果、高価なインフラの増強を行うことなく、大幅なパフォーマンス向上を実現しました。レンダリング時間は50%以上短縮され、特に複雑な4色画像において最大の効果が確認されています。単なる処理速度の向上にとどまらず、GPUレンダリングへの移行によりシステム全体の効率も向上し、CPUリソースを他の重要な処理に割り当てることが可能となり、プラットフォーム全体の最適化も容易になりました。
また、Apexの導入により、Arrayは市場における差別化を実現しました。Raptor Controllerは同クラスで初めてGPUベースのレンダリングを採用した製品となり、高い精度と信頼性を維持しながら、より大容量のトランザクション印刷を可能にしています。さらに、その効果はトランザクション印刷にとどまりません。GPUレンダリングの導入により、Arrayはバリアブル段ボール印刷という新たな機会を見出しました。
2025年10月、Arrayは親会社であるMCS Inc.とともに、RaptorソフトウェアとApexによって駆動されるHarrierデジタルプリンターを活用した「RealStamp™」印刷システムを発表しました。RealStampは、危険表示、ブランド表現、配送ラベル、各種情報など、複雑なフルカラーコンテンツを段ボールに直接印刷したいというパッケージ市場の高まる需要に対応するものです。さらに、このプラットフォームにより、スケーラブルなプリントバーの開発も可能となり、印刷幅は4.25インチから最大12.75インチまで拡張されました。これらを組み合わせることで、Arrayは毎分500〜600フィートという速度で高解像度・高濃度のカラー印刷を実現し、これまで参入が難しかったウェブ印刷市場の新たなセグメントへの展開を可能にしています。
Array Technologiesについて
Array Technologiesは、MCS Inc.の一員として2000年に設立され、米国コネチカット州グラストンベリーに本社を置いています。同社は、印刷、メール、パッケージング、製本など幅広い市場に向けて、ミッションクリティカルなハードウェア、ソフトウェア、およびワークフローソリューションをグローバルに提供しています。製品には、業界をリードする画像検査装置(vision system)、バリアブルデータ対応の産業用インクジェットソリューション、そして完全に統合されたソフトウェアワークフローソリューションなどが含まれます。